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    「雪の下の炎」 DVD発売中!!

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    (上の映像をクリックしてください)

    2009年6月25日木曜日

    気合い

    映画「劔岳」の公式ウェブサイトを見た。

    木村大作監督は大ベテランの撮影監督。特典映像を見ていると、全国を自らが運転してフィルムを持って行脚している。たぶん、これは各地での一日限りのスペシャルスクリーニングで一般の劇場公開とは別にやっているのだと思うけれど、その姿を見ていて、インスピレーションをもらった。

    いくつになっても「伝えたい」という思いに突き動かされ、行く先々、お腹から声をふりしぼり、手振り身振りもあわせて、観客に語りかける監督。
    2年間かけて、標高数千メートルの山々で命がけの撮影をしている。メイキングを見ていると、その様子が伝わる。
    頂上まで上っても、天候悪くて数時間待機した末に下山ということもあったんだそう。

    語り続けること、その難しさ。初志を心に刻んで進む。

    2009年6月16日火曜日

    インディアン・アイドル♡

    インディアン・アイドルを知っていますか? アメリカン・アイドルなら知っている人は多いと思うけれども、インディアン・アイドルはそれのインド版なのです。いわゆる歌のオーディション番組。超ローカルな話題で恐縮なんだけれど、2007年のインディアン・アイドルシーズン3、私はチベット人の友人のおかげでぜーんぶ見ていたのです。ほら、ジャクソンハイツでDVDがすぐに入手できるからね。
    最初は、ちっ、うるさいなー、と思っていたのだけれど、これがまたよくできている。リアリティー・ショーとオーディション番組が一緒になっているから、ドラマ性はあるは、ツッコミ性満載だわ(インドです、ボリウッドの国です)で、気づいたら番組を網羅していました。

    2007年のシーズン3は、中国系のコンテスタントがいたり、ダージリン出身のネパール系の男の子がいたり、インドのマイノリティーががんばっていた。最後のふたりに残ったのは、ダージリン出身のネパール系のプラシャント・タマーン君とシロン出身のアミット・ポール君。ふたりともけっこうなイケメンで、審査員のアメリカ版だとサイモンのような、(知る人ぞ知る)鬼のようなダメ出しをするボリウッド界のかつての売れっ子ミュージック・プロデューサー、アヌ・マリックの罵詈雑言にも絶え、本当によくプレッシャーにめげずにがんばっていて、それだけですごかった。毎週、携帯のテクストメッセージで視聴者がVoteできるのだけれど、プラシャント君はネパール系の少数民族の応援がハンパなくすごくて、彼1人分の票が最後の方に残っていた5、6人のすべてのコンテスタントの票を全部集めたよりも多かったくらいだったそう。だから、結局最後にプラシャント君が勝ったわけです。

    で、前置きがすごーく長くなりましたが、そのプラシャント君がお友達を訪ねてNYに来ていて、何度か会う機会がありました!私の友人の家に行ったら、プラシャント君がそこにフツーに座っていて、思わず私はミーハーぶりを炸裂させた、いや炸裂させざるを得なかったのです。だって、彼がアイドルになるプロセスを見守っていたのだから!!! 
    プラシャント君はアイドルになる前はコルカタの警察官をして、警察のバンドで歌っていたそう。お父さんが亡くなったために彼が家族のために学校をやめて、お父さんの後をついで、警察官になったんだそうです。とにかく、おごりがまったくなく、気配り上手な超好青年で、私はさらなるファンになってしまいました。それに、彼は仏教を信仰するゴルカ族なのです。

    彼はNYでチベット人の私の友人のアーティストの家に泊まっていたのだけれど、チベット人の彼に対する歓待ぶりもすばらしい。彼をインド人が沢山いるジャクソンハイツなんぞに連れて行ったら、タイヘンなことになるから、なるべく駅を避けて、チベット人のタクシーやリムジンの運転手が借り出され、色々な場所に連れて行く。沢山のチベット人が知ると、もてなし好きなチベット人の「うちに来い!」攻撃にあうから、それをやんわりと断る、など。そして夜になると数人のチベット人たちが遊びにきて、ヒンディー音楽大合唱パーティー、それも夜中まで。プラシャント君よりも、よっぽど沢山のヒンディー音楽を知っているチベット人たちの音楽に対する情熱はすごいです。しかも、チベット人ってみんな歌がめちゃくちゃ上手いから、プラシャント君と合唱しても肝心のプラシャント君の声が聞こえないくらい!

    そんなこんなで、ワイワイと楽しい時間があったわけですが、昨日は彼をスカイダイビングに連れて行くために、ロングアイランドへ行った。7時半に集合という訳で、ものすごい早起きをしたものの外は雨。とりあえず集合場所に行くけれど、プラシャント君は前日朝4時までの飲み会プラス合唱会のおかげで、まだ寝ている。ホストのチベット人の友人も真っ赤な目をしながら、スカイダイビングの事務所に電話をし、気象状況の確認をとっている。結局、時間が遅れて午後イチで来てみなさい、ということになり、まったりと雑談しながら(チベット人らしく)朝食をとった後、2台の車で、やはりヒンディー音楽大音量大合唱のドライブ。1ダイビング350ドルというとんでもなく高いお金がかかるので、私たちは応援をするのみ。まあ、飛行機代もあるから。プラシャント君は警察でのトレーニングもあったのか、度胸が据わっていて、インストラクターから説明を受け、意気揚々と飛行機に乗り込み、私たちはそれを固唾を飲んで見守ったのです。勿論、1人でやるわけではなく、インストラクターに繋がって降りてくるから安心な訳だけれど、にこにこしながらパラシュートにぶら下がっておりてくるプラシャント君を見たときは安心した。「ここでインディアン・アイドル様に事故があったら誰の責任になるんだ?」という疑問をいっさい抱かないチベットコミュニティーに乾杯したくなった。

    しかし、7人くらいでのミニ・トリップで、友達プラスインディアン・アイドル様というメンツだったとはいえ、こんなに楽しく笑った1日はほんとーに久しぶりだった。どの写真を見ても、私はだらしのない、でも良い意味で邪気のない笑顔とポーズまでとっていたりして、まったくもってチベット人たちは、どんな人をも(私のような人間でさえ)笑顔にして、場をゆるーく、たのしーくしてしまう技術に長けていることを再確認した。これってスゴいことだと思う。

    一日の終わり、家にかえってきて、皆スゴーク疲れていたけれども、ホストの友達はレストランに行って皆の食事を買ってきてくれて、その間私たちとアイドル様はだらだらとヒンディー映画を観て、今彼が住むムンバイの話やボリウッドの噂ばなしなどをしていた。(いい忘れましたが、私は大のつくボリウッドファンです)ホストの友人が食事を買ってきてくれて戻ってくると、皆お腹がすいていて、もくもくと食べ始めた訳だけれども、なぜかプラシャント君が食べていない。どうしたの?と聞くと、「僕はソナムを待っている。ソナムが来たら一緒に食べる」と言う。チベット人のソナムは、ロングアイランドから帰ってきて、一度用事があるから2、3時間外に行ったのだったけれど、それを待ちたい、と彼は言うのだ。お腹がすいていたはずなのに。なんて良いやつなんだ!

    プラシャント君はしきりに、旅をすると、普段は自分はホテルの部屋に入れられて、皆忙しいからまったく相手にしてくれないし、必要なときだけ声をかけてくるから、こんなに友達のように、というか友達になって良くしてくれるなんて家族みたいだ!!と感激していた。チベット人の思いと、プラシャント君の思い。なんか、素晴らしいドキュメンタリーを見ているような気分だった。
    そんな中、ふと、どうしてこんなに楽しいのか、と正気に戻る瞬間がきて、人間がもちえる、精一杯のあたたかさがじんわりと身にしみたとき、自分は今日は童心にもどっていたのだなー、と思い、皆の顔をみていると感謝の思いがこみあげて、泣けてくるくらいの勢いだった。人がいちばんのインスピレーションだなあ、と思う。

    プラシャント君がインディアン・アイドルで勝った回



    プラシャント君の歌
    「人生では思ってもみなかったことに出会う」というようなことを歌っている彼のシングルです。今もハナウタで歌っているくらい、お気に入りになっちゃった。

    2009年6月11日木曜日

    トークイベント開催@アップリンク

    お久しぶりです。1週間くらい、沈んできました!詳しい内容は言えないけれど、色々なことが表面にでてきて、それと現実的に対峙しているうちに身体が拒否反応を見せ始めた、とも言うのか。ビクラム・ヨガをやるようになって、身体の声みたいなものがすごく顕著にでてくるようになったので、心で「やらなきゃ」と思っていても、身体が「いやだよ」と言っているのを、ぐーっと感じて「どうしてやれないのか?」って落ち込んだりしていたのです。
    しばらくしたら、落ち着き、身体がついてくるようになりました。

    さて、今週の土曜日にトークショーがアップリンクであります。
    文化人類学者で「雪の下」のパンフレットにも、とてもあたたかく人間的な文章をよせてくださった上田紀行さんと、「堀越学園の金八先生」として有名で、現在は僧侶をなさっている赤川浄友さんのトークショーです。
    詳しくはこちら

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    ■日時:6月13日(土) 上映 15:00~/ トーク 16:15~ (17:15頃終了予定)

    ■ゲスト:上田紀行氏 (文化人類学者、東京工業大学大学院准教授)
          赤川浄友氏 (浄土真宗本願寺派僧侶、
                      宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会関東ブロック事務局)

    ■会場:アップリンク・ファクトリー (渋谷区宇多川町37-18トツネビル1F)

    ■イベント料金:当日一般¥1,500/学生 ¥1,300/シニア ¥1,000 (トークのみ¥500)

    ■前売り券もご利用いただけます。こちらから、ぜひどうぞ!

    前々から上田さんはもちろん、僧侶の方にトークショーにいらしていただきたいと思っていて、アップリンクさんも動いてくださっていたのですが、週末は法要が多く、なかなかいらっしゃれる方がいなかったそうです。とてもあたたかいお話を聞けると思うので、皆様ぜひ会場に行ってみてくださいね。

    2009年6月2日火曜日

    Herb and Dorothy

    この前の負債に関するブログに沢山の方が反応して、応援メッセージをくださいました!ありがとうございます。励みになります。

    昨日、制作途中の段階でトライベッカ映画祭のプログラムAll Accessに入ったときに、一緒になって以来の「戦友」Megumi Sasakiさんのドキュメンタリー、Herb and DorothyのNYプレミア試写会に行った。彼女とは制作段階のころから、ほんっとーに色々助け合い、傷をなめあい、鼓舞しあった、本当に大切な友人。その大切な友達の大切な日だった。

    彼女の映画はNY在住の伝統的アートコレクター、Dorothy and Herb Vogel夫妻の話。アートコレクターといっても、お金持ちの二人ではない。Herbは郵便局員、Dorothyは図書館員でDorothyのお金で生活しながら、Herbの給料でこつこつと芽が出るか出ないかのアーティストの作品を買ってきていたら、とんでもないコレクションになっていた、という話。とんでもない、というのは、スケールも、そしてバリューも。クリストやロバート・マンゴールド、リチャード・タトルなど、今やそうそうたるアーティストが名を知られていないときから、彼らのアートを集めていたのです。

    プレミアにはHerbとDorothy以外にもドキュメンタリーにも出ているそうそうたるアーティストの方々が集まっていて、映画館前を通る人々は、スターがいるのでは? と足をとめていたほど。Herbの座っている車椅子を押して、メディアへのポーズをとっているMegumiさんと出演者たち。私もiphoneで写真を撮ったのだけれど(ぐふふ)、彼女のこぼれるような笑顔の向こう側にはとてつもない努力と忍耐があるのを知っている。この数ヶ月、NYプレミアのために、寝る間もおしんで、一生懸命広報活動指示からウェブサイト制作、ひとつひとつをじっくりやってきた彼女。その彼女が登場人物のDorothyと一緒にHerbの車椅子を押しながらQ&Aで会場に入ってきたのを見て、ほんとうに胸がきゅんとした。

    HerbとDorothyのユニークで筋の通った、とても地道な生き方は、Megumiさんがかれらの映画を作ったプロセスの地道さと重なる。

    映画の世界は配給されたり、メディアの前に出たり、とてもきらびやかな世界のように見えるが、それは映画制作、配給準備、とかの目立たない作業に比べれば、1パーセントの時間にも満たない。ハイテンションで色々な人々と話をしたり、カクテルを飲んだり、祝辞を頂いたりするが、一夜終わると、またやらなきゃいけない書類が山積みの自分の部屋で目覚める。目覚めたりする。

    映画はオーディエンスに見てもらってからこその映画だし、そのための努力なんだけれども、全てのプロセスがそれこそドキュメンタリーになるくらい、ローラーコースターにのっているようなドラマの連続。人に呼びかけ、人に支えられ、人に誤解され、人に説得し…うーん、まさに修行の道といったかんじ。

    その道の途中にて。焦らずにこつこつとやっていこう。