Twitter(つぶやき)をやってみませんか?

    follow me on Twitter

    「雪の下の炎」 DVD発売中!!

    「雪の下の炎」 DVD発売中!!
    (上の映像をクリックしてください)

    2010年10月3日日曜日

    この秋は映画におぼれる

    見たい映画がめじろおしで(映画は星の数ほどあれど、見たい、と腹の底から思う映画は少ない)わくわくな秋よん。

    ちょうど、普段ボリウッド 映画を見に行くインド人の友達夫婦と、チベット人のフィルムメイカーの友達、そして雪の下の炎でアソシエイト・プロデューサーをやっているリンカーンくんが皆興味をしめしたために、リンカーンセンターでやっているNew York Film Festivalでどうしても見たかった映画、Carlosを見に行ったんだ。



    土曜日だというのに朝11時から、しかもアップタウンでの映画、ということで、30分前に近所に住むインド人夫妻(といっても旦那さんはインドネシア人)とチベット人のフィルムメイカーの友達はうちのカウチにお泊まりして、眠い目をこすりながらタクシーを相乗りして、いざリンカーンセンターへ。

    さて、このCarlos、フランスの監督Olivier Assayasの作品なんだが、テレビ用の作品のために319分もある! なんと5時間以上、すわっていないといけないわけ。でも、私はなぜか3という数字を見て、3時間半と勘違いして皆を誘い、着いてみたら休憩をはさんで5時間以上あることが分り、皆からふくろだたきにあう。
    でも、カンヌのコンペにもでていたこともあり、ほぼ満員の客席。で、やはり年齢層は高い。

    70年代にパレスチナ解放運動に「参加」して、数々の爆破事件やOPECで数々の国の首脳をkidnapして、飛行機をハイジャックしたCarlos the Jackalという、アンチ帝国主義の「暴力的活動家」(あえて、テロリストとはいわない。だって、視点によるし)の話。中東を中心にヨーロッパ(特にフランス)で「活動」していて、日本赤軍とも時期が重なる。映画では、日本赤軍によるオランダのフランス大使館占領事件も描かれているんだけれど、日本赤軍の描かれ方がどうも私は気にくわなかった。
    まあ、日本人背格好が小さいし、線が細いから、銃をもって大使館にはいるのも、なんかカリカチュア的に描かれてしまい、その裏側があまり描かれない。カルロス中心映画だから、仕方はないのだけれど。

    しかし、この映画では5時間ちょっとも物語を語りながら、彼の幼少時代がまったく描かれいない。だから、カルロスが一体どうしてこの運動に入り込んだのかが分らない。プロダクションバジェットのこともあったのかもしれないけれど、それがないと、今ひとつ主人公の目線に入れず、情報が多いのと、ロケーションがばんばんかわるのとで、2時間すぎてから、ちょっとついていけなくなる。お腹がすいたのと、数秒くらいの睡魔が断続的に襲ってくるのとで、まったく集中できなくなってしまった。

    休憩後はまた集中して見れたけれど、映画のキャラ描写がいまひとつなのと、カルロスの何が描きたかったのかが分らず、まあまあ、という印象だった。たぶん、スクリプトが整理されていない感じがする。私としてはいらないだろうと思うシーンが沢山あるのも気になった。みんな、「フランス人だからね」というふうに笑っていたけれど、性的描写の長さは、物語全体のトーンと比例していないし。なんか、必要以上にセクスィーだし、、、

    イタリアの赤い船団(日本赤軍のイタリア版といおうか)をテーマに作られた、同じテレビ用に作られているThe best of youthのほうがぜんぜん良かった。あれは、人間描写に優れていて、時代背景もバランスよくとらえていた。(日本では「輝ける青春」と言うタイトル)



    あまりに疲れて、這うように家に戻り、ソファでしばらく沈殿し。起きてからせっかく届いたapple TVでNetflixの中から、Ajamiという今年のアカデミー賞の外国語映画部門にノミネートされた映画を見る。

    これはフランス、ドイツ、イスラエル共同出資の映画だけれど、パレスチナ人とイスラエル人の二人の監督によって作られた、テルアビブの傍にある海沿いの街Jaffaで繰り広げられる、パレスチナ人、イスラエル人、クリスチャンの家族の群像劇映画。イスラエルからアラブ語映画がアカデミーに出されたのはこれが初めてのことだそう。困ったもんだよね。
    でも、この映画すばらしいよー。素人を俳優に使っているのだけど、本当に彼らの演技が素晴らしい。目がいきいきとして、きれいで。でも、ストーリーは残酷。終わりのない報復戦に巻き込まれたそれぞれの家族の日常が見える。同じことに心が動かされる人間なのに、それでも歴史が残した深い傷跡を生きていくことの大変さや、個人のたくましさが繊細に描かれている。



    まだまだ、見たい作品がたくさんよー。この秋。

    0 件のコメント: